2015年7月8日水曜日

W.W.デンスローとJ.R.ニール

オズの物語第1作目である「オズの魔法使い(The Wonderful Wizard of Oz)」の挿絵は、ウィリアム・ウォーレス・デンスロー(William Wallace Denslow)というイラストレーターが描いています。

でもこの第1作目の成功が逆に作者ライマン・フランク・ボームとの関係を悪化させることになります。今風に言ってしまえば、デンスローによって描かれたかかし男やブリキの木こりたちのキャラクター権をめぐる争いだったようです。


その結果、オズの物語の2作目以降の挿絵を担当したのは、ジョン・R・ニール(John R Neill)というイラストレーターで、のちにオズの物語そのものも手掛けたりしています。


それぞれ特徴があって、ボームは輪郭のはっきりした線で、ドロシーを含めてキャラクターはずんぐりむっくりしています。デフォルメやポージングが独特で、どこかしら滑稽でどこかしら不気味な味わいがあります。





これに対して、ニールの絵は写実的です。基本的にはデンスローのキャラクター造形を踏襲していますが、ドロシーがまったくと言って良いほど違います。当時のおしゃれな少女として描かれているのです。



ドロシーの可愛らしさが、ぐんとアップした感じですね。そしてこのリアルなドロシーと一緒に異形のキャラクターたちが描かれるのですが、そのバランスがまた絶妙なのです。


デンスローの不気味さも、ニールのリアルさもどちらも大きな魅力ですが、当時印刷技術が飛躍的に発達したこともあり、カラーグラフィック的にはニールの挿絵の方が凝っているのは確かでしょう。


物語的にも人気の高い第三作「オズのオズマ姫」ですが、挿絵の面でもニールの魅力が一番堪能できる作品になっているのではないでしょうか。