本日《望林堂完訳文庫》最新刊「クリスマス・キャロル」が、Kindleストアで販売開始となりました。
ネットを見ていましたら「クリスマス・キャロル」の説明として「貸金業をまじめに営んでいたユダヤ人が、キリスト教的価値観のもとで悪者扱いされ、無理やり〝改心〟させられる物語」というような、歪んだ解釈があって悲しくなりました。
でもそれは違います。きちんと読んでいただければお分かりいただけると思いますが、本書にはキリスト教的価値観の押しつけはありません。
主人公スクルージの甥っ子が言います。
「ぼくはクリスマスが近づくと——その神聖な名前や起源への畏敬の念とは別に、もちろん別にすることができればですが——クリスマスって素晴らしいなあと、ずっと思っているんです」
もちろん土台にはキリスト教がありますが、本作ではこのように、どちらかと言えば日本人に受け入れられやすい、宗教とは切り離した〝心が豊かになる庶民のクリスマス〟が描かれているのです。
さらに、「ヴェニスの商人」のシャイロックのような〝強欲な金貸しのユダヤ人〟というようなイメージを下敷きにしているとは言え(スクルージが金貸しであるとかユダヤ人であるという明確な描写はありませんが)、スクルージは、実は貧しく厳しい人生を送ってきた庶民の一人であることが描かれます。
そのかたくなに心を閉ざしたスクルージの魂が、3人の精霊に導かれ、少しずつ救済されるのが、この物語なのです。だからこそ時代や宗教を越えて、万人の心を打つ名作となったのでしょう。
そのかたくなに心を閉ざしたスクルージの魂が、3人の精霊に導かれ、少しずつ救済されるのが、この物語なのです。だからこそ時代や宗教を越えて、万人の心を打つ名作となったのでしょう。
他店でも順次販売される予定です。いましばらくお待ち下さい!