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2018年6月24日日曜日

望林堂翻訳文庫へのうれしいレビュー

Kindleのカスタマーレビューにうれしいコメントが載せられています。


・学校図書館の書籍として購入するために「みつばちマーヤの冒険」を探しています。気品にあふれる単行本がほしい!!
もしも、これが単行本だったならば、児童たちの夏休みの宿題、読書感想文にこの望林堂版を薦めます!
毛利孝夫さんの翻訳のすばらしさは、一行目を読んだだけでわかります。マーヤの愛らしさが、文章からこぼれてくるから。また、毛利さんの誠実な翻訳の姿勢にも脱帽しました。
すばらしい本です。

「あしながおじさん」へのレビュー
  
・新潮文庫の松本恵子さんで育ってきましたが、毛利孝夫さんの訳は非常にこなれていて素晴らしいです。脚注にも気を配ってらっしゃるのがよくわかります。娘には毛利さん訳で読んでもらうつもりです。

・タイトルは知っていましたが、先日、某芸能人の方が結末をおっしゃっていて、衝撃を受け、初めて読みました。
何人かの翻訳者の方のKindle版サンプルを見て、これが一番良いと思いました。なのに、一番安い!
3回くらい泣きました。子供の本だと思っていましたが、全然違いました。
買って良かったです。
  
  
過分なおほめにあずかり、誠にありがとうございます!
大きな励みになります!
  
  

2015年11月18日水曜日

原著と英語訳と日本語訳

基本的に《望林堂完訳文庫》では、英語作品を日本語訳してお届けしています。でも既刊書の中には、

「アルプスの少女ハイジ」(スイス文学、ドイツ語)
「ピノッキオの冒険」(イタリア文学、イタリア語)
「みつばちマーヤの冒険」(ドイツ文学、ドイツ語)
「青い鳥」(ベルギー文学、フランス語)

など、原著が英語ではない作品も含まれています。どうしてそのようなことが可能なのでしょう? それは、原著の英訳完訳書を見つけて、それを日本語に訳しているからなのです。

ところが、英訳書の場合、完訳かどうかはっきり明記されていない場合がほとんどです。完訳だと思って訳していると、実は抄訳だったりするのです。

そこで、分量的に完訳と思われる英訳書を見つけても、さらに原著のテキストを自動翻訳で英語にして、抜けているところがないかチェックしつつ作業を進めることにしています。時間はかかりますが、〝完訳文庫〟と名乗る上ではこだわりたい部分だからです。

また、こうした内容とは別の点で、〝完訳〟とは言えない部分も出てきます。英訳が違う意味になる場合もありますし、説明を書き足している場合もあります。

中でも意外と多いのが、名前の変更です。オリジナルの単語をそのまま載せても、読者がその発音がわからない(英語にない発音や表記)とか、発音しづらく親しみがわきづらいという〝配慮〟からでしょうか、名前がオリジナルとは別の英語名に変えられている場合が少なくないのです。

例えば「みつばちマーヤの冒険」では、登場人物の名前が次のように変わっていました。

 独語名   / 英語名   (虫の種類)
 ペッピー  / ピーター  (フキコガネムシ)
 シュヌック / ラヴィディア(トンボ)
 クルト   / ボビー   (フンコロガシ)
 フリッツ  / フレッド  (チョウ)
 ヒエロニモス/ トーマス  (ムカデ)

これも、原著と英語訳とを照らし合わせて作業しながら、一つ一つオリジナルの名前を確認し、その発音に近いカタカナ表記を使って日本語に訳してあります。

こうしてできるだけオリジナルの名前にこだわるのは、地名や人名は、読んでいて〝異国〟が感じられる大事な部分だからです。そこに込められた、ドイツらしさやイタリアらしさは、作品のとても大きな魅力の一つだと思うからです。

そういう意味では、オリジナルを〝完訳〟したと言われる英訳書の完訳邦訳ではありませんが、その〝完訳〟英訳書に比べて、よりオリジナルに近い完訳邦訳だと思っております。

ただし、例えば「青い鳥」に出てくる仙女Béryluneは、これまで〝ベリリウンヌ〟(フランス語読み〝ベリリュネ〟とも、英語読み〝ベリリュン〟とも違う)と訳されて親しまれてきているようなので、それにのっとりました。こうした部分をどう判断するかは難しいところです。でもやっぱりHeidiは〝ハイディ〟ではなく、〝ハイジ〟ですものね!



「青い鳥」の挿絵
 
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2015年9月19日土曜日

「みつばちマーヤの冒険」販売中!

今朝の6:27にKindle側から販売開始のお知らせがメールで届きました。《望林堂完訳文庫》第14弾「みつばちマーヤの冒険 」販売開始です。



今回は申請から18時間程度で出版となりました。Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)から出版権についての問い合わせメールが届き、すぐに返事のメールを返したのが申請の約1時間後でした。やりとりはそれだけで、とても素早く処理していただけたと思います。

「今すぐ無料サンプルを送信」を使えば、一部を試し読みすることもできます。ぜひお手にとっていただければ嬉しいです。
  
なお、10月1日からKindle書籍にも消費税8%がかかることになりました。でも《望林堂完訳文庫》は、すべて価格据え置きで、現在のお値段のまま販売いたします。

2015年9月18日金曜日

「みつばちマーヤの冒険」出版申請完了!

第13弾「オズのオズマ姫」出版から約2ヶ月の作業期間を経て、本日ようやく第14弾「みつばちマーヤの冒険」をKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)に出版申請いたしました。


KDPのレビュー(審査)を経ての出版となりますが、遅くとも明日からのシルバー・ウィーク期間中には販売開始できるのではないかと思っております。Amazon Kindleブックとして“店頭”に並ぶまで、今少しお待ち下さい。


2015年9月5日土曜日

マーヤたちの敵は〝クマバチ〟ではない!

本日、「みつばちマーヤの冒険」の邦訳第一稿ができあがりました。このお話もとても良くできたお話で、一日も早くきちんとしたかたちでお届けしたいと、あらためて思いました。

以前「ジャングル・ブック」の『白アザラシ』は誤訳で、実は『白オットセイ』だったというお話をしましたが、「みつばちマーヤの冒険」でも、同じような大きな誤解が残されています。

それは、マーヤたちミツバチの敵が〝クマバチ(クマンバチ)〟だ、というものです。そもそも花粉や蜜を食べるクマバチが、ミツバチを襲うことは考えられないのですが、なぜかマーヤたちミツバチの最大の敵が〝クマバチ〟にされてしまったのです。
 
ところが原作ではちゃんとhornisse(英語でhornet)とあり、〝スズメバチ〟なのです。これは日本語化される際の誤訳です。

そもそもクマバチは日本固有種なので、ドイツ人のボンゼルスの頭にクマバチがあったとは思えません。実際、文中でもスズメバチの特徴である「黒と黄色の縞模様の体」という表現が何回も出てきますし、現実にもミツバチの大敵はスズメバチです。

日本では〝クマンバチ〟という言葉がスズメバチを含む大型なハチ全般を指す場合があるそうなので、混同されてしまったのかもしれません。あるいは同じ大型なハチとして「スズメ」よりも「クマ」の方がより凶悪そうに聞こえて、敵としてふさわしいと短絡的に考えられた結果かもしれません。

でもいまだに様々な場所で、「みつばちマーヤの冒険」でマーヤたちミツバチが最後に戦った相手が〝クマバチ〟だと書かれているのを見ると、それだけでも本書を出す意味があるように思われるのです。

もちろんそのほかにも、この物語は魅力がいっぱいです。それは自然界や虫の世界をかなりリアルに見つめつつ、人間味溢れるやり取りやしぐさが描かれるという、絶妙なスタンスがうまく活かされているからでしょう。

さらに、スズメバチも「敵」ではあっても「悪」ではないという、作者の視点がきちんと描かれている点も大きな魅力です。この客観的な視点こそが、この物語にドライな感覚を与え、情に流されない奥の深さにつながっているのだと思うのです。

出版開始のあかつきには、ぜひ多くの方にお読みいただけると嬉しいですね。

マーヤ(手前)と敵のスズメバチ
挿絵のリアル/擬人化のバランスも絶妙です!


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2015年8月11日火曜日

プック(Puck)は男性?女性?

「ミツバチ マーヤの冒険」の第6章に、プック(Puck:英語読みだと“パック”ですがドイツ語読みに則ります)という“家バエ”が出てきます。このPuckの性別がちょっと問題です。

翻訳はオリジナルのドイツ語を英訳した「The Adventures of Maya the Bee」(Thomas Selzer Inc, 1922)を元に行っているのですが、そこでは 人称代名詞にheが使われていて、男性として扱われています。

ところがオリジナルのドイツ語から直接訳されたと思われる「みつばちマーヤの冒険」(世界名作文学集、国土社、2004)では、女性として描かれています。「彼女」という代名詞を使い、言葉遣いも女性的です。

原文にあたってみたところ、

Dann plötzlich duckte sie sich zusammen, so daß es aussah, als habe sie keine Beine.

と英語のsheにあたるsieが使われているので、女性だと思われるのですが、ではなぜ英訳版で男性になってしまったのかが謎です。

以下に、Googleの機械翻訳と上記英書の英訳部分を上げておきます。(太字での強調は筆者による)



Google翻訳:Then suddenly she crouched together, so that it looked as if she had no legs.

上記英訳書:Suddenly he ducked his head and squatted down, so that he looked as if he had no legs.

ちなみに日本のTVアニメ「みつばちマーヤの冒険」(1975-1976)に登場するPuckは男性。このアニメはヨーロッパでも人気があったせいか、ネットを見る限り、現在は一般的にはPuck=男性というイメージが強いようです。

ただし順番としては英訳が先(1922年)なので、それを採用してアニメのキャラクターも男性になったのかもしれません。


では今回の邦訳ではどうするか、ということになるのですが、英訳版の翻訳という基本的なスタンスに則れば男性ということになりますが、やっぱりオリジナルを尊重して女性として訳すべきか。悩みどろこです。

2015年7月20日月曜日

次回配本第14弾は「みつばちマーヤの冒険」

候補その1と言いながら、結局他の候補が出揃わないうちに《望林堂完訳文庫》次回配本 となる第14弾は「みつばちマーヤの冒険」に決定です。

数少ない完訳本の一つを取り寄せてみたのですが、正直なところ訳がこなれていない印象を受けました。文章がすっと入ってこないので、情景が自然に浮かんでこないのです。それはつまり、こういう心情を言おうとしているんじゃないかとか、こういうなんじゃないかとか、補って考えないと先へ進めない感じです。

加えて、会話の多い作品であるにもかかわらず、言葉遣いに統一性がないので、キャラクターの個性がはっきりしません。するとキャラクターが印象に残らないし、マーヤとのやり取りの面白さも伝わらないという、読んでいてとてもはがゆいことになります。


これを少しでももっと気持ち良く読める訳書として出したいと、強く思いました。それが次回作に決めた理由です。Homer Boss氏のイラストも可愛らしいので、それもまた本書を選ぶ一つの要因となりました。




ちなみにその他の候補として検討していたのは、


「少女ポリアンナ(Pollyannna)」、
「ドリトル先生航海記(The Voyages of Doctor Dolittle)」、
「ジキル博士とハイド氏(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)、
「幸福な王子(The Happy Prince and Other Tales)」

などでした。今回は取り上げませんでしたが、今後本文庫に入る可能性が高い作品です。あわせてご期待ください。

2015年7月16日木曜日

次回作候補その1「みつばちマーヤの冒険」

「アルプスの少女ハイジ」同様、この「みつばちマーヤの冒険」もアニメ化されて人気のある作品ですね。

似たようなアニメ作品に「昆虫物語みなしごハッチ」というものがありますが、「ハッチ」がタツノコプロのオリジナル作品であるのに対し、「マーヤ」はドイツの作家ワルデマル・ボンゼルスが第一次世界大戦前の1912年に発表した、児童文学作品です。

  

  
その原作に関する情報は「ハイジ」以上に少なく、アニメ放映以前から翻訳書は出ていたのですが、現在全訳本は非常に手に入りにくい状況となっています。もちろんKindle書籍には一冊もありません。

そればかりかネット上でも、アニメ以外の情報はほとんど見つけられないのが現状です。

こうして有名なアニメの陰に隠れて、オリジナルの文学作品の陰が薄れてしまうのは、たとえそのアニメが素晴らしい出来であったとしても、やはりとても残念なことです。両者はやはり別物だからです。

「アルプスの少女ハイジ」や「ピノッキオの冒険」を選んだのも、そういう思いがあったからですが、「マーヤ」もいずれ出したいと思っていた作品です。

ということで現在、次回作の候補の一つに挙がっています。