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2021年3月3日水曜日

「砂の妖精サミアド」に高評価いただきました!

Kindleページのカスタマーレビューで、弊社既刊の「砂の妖精サミアド」に高評価をいただきました。とても励みになります! ありがとうございます!

砂の妖精は「火の鳥と魔法のじゅうたん」「魔除け物語」の三部作になっています。と言っても、それぞれが独立したお話です。

いつか完訳文庫に加えられたら、と思っております。


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《望林堂完訳文庫》
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《CG絵画》
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2015年12月23日水曜日

「砂の妖精サミアド」本日発売!

《望林堂完訳文庫》第15弾となる最新刊「砂の妖精サミアド」が、本日販売開始となりました。Amazon Kindleストアからご購入いただけます。


内容紹介
 イーディス・ネズビット原作の「Five Children and It」の新訳&完訳です。 
 ケント州の田舎に引っ越してきたシリルたち五人の兄弟姉妹たちは、近くの砂利取り場で妖精を見つけます。妖精は「サミアド」と名乗り、一日一つ「願い事」を叶えてくれるというので、子どもたちは大喜びするのですが、思うようにいかず苦難の連続に。でも子どもたちは力を合わせながら、どうにかピンチを切り抜けてゆくのですが……。 
 豊かなイマジネーションと活き活きとした子どもたちの姿を描き、その後の児童文学やファンタジー小説に大きな影響を与えた傑作ファンタジーです。「おねがい!サミアどん」という日本のアニメーションの原作でもあります。 
 縦書き、ルビ付き、脚注付き。初版で使用されたハロルド・ロバート・ミラーのモノクロ挿し絵を52点収録。

さっそく販売商品をダウンロード購入してみて、Kindle paperwhite(Kindle)、iPhone(iOS)、Nexus(Android)の各プラットフォームで、あらためて動作確認をしましたが、問題なく「ルビ&脚注付き縦書き表示」されております。


 Nexus(Android)でKindleアプリを使って表示した様子。

「無料サンプル」もお試しいただけますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。

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2015年12月17日木曜日

「願い事」の言葉は「wish」

「砂の妖精」は、五人の子どもたちが偶然妖精サミアドに出会い、「願い事」を叶えてもらえるという幸運を手にしながら、思うような「願い事」ができずにいろいろな騒ぎが持ち上がる物語です。

思うような「願い事」ができないというのは、「願い事」をしたつもりがないのに、勝手に「願い事」として叶えられてしまう、という行き違いによるものもあるのですが、それはサミアドが、子どもたちが「願い事」をしたかどうかの判断を、「wish」という言葉を使ったどうかで決めるからなのです。

これが日本語訳する上で難しくなります。日本語で「願い事」をする場合、いろいろな表現があるからです。

「〜したい」「〜して欲しい」「〜だったら良い(のに)なぁ」「〜してください」「〜をお願いします」などなど、日本語には「願い事」だと言える表現がたくさんあるのです。逆に言えば、一つの表現だけでは言い表し切れないとも言えます。

英語なら「wish」という一つの言葉を言うかどうか、思わず口にしてしまうかどうかという面白さがあるのですが、上記の日本語表現を全部「願い事」をする言葉だとしてしまったら、どうなるでしょう?

きっと、「願い事」の〝言葉を口にしたかどうか〟が、〝願ったかどうか〟という曖昧で幅の広いものになってしまい、どこからどこまでが「願い事」になるのか、物語の中の子どもたちや読者がわかりづらくなってしまうでしょう。

そこで今回の新訳では、多少の無理を承知で、この「wish」を「欲しい」としています。「欲しい」と言ったら「願い事」です。それにより子どもたちが願ってもいないのに「願い事」をしてしまった時の、「しまった、言っちゃった!」という感じが読者に伝わりやすくなっていると思います。

これまでの邦訳書にはない、今回のこだわりの一つです。どうぞお楽しみに。現在校正とルビ付け作業中です。発売まで今少しお待ち下さい。



2015年12月12日土曜日

「砂の妖精サミアド」表紙案

《望林堂完訳文庫》第15弾、「砂の妖精サミアド」は、年内の発売を目指して現在校正中です。H.Rミラーによる美しいオリジナルの挿絵53点も、ほぼ画像処理が終わりました。

そこで一足先に、表紙案を公開したいと思います。そのHR.ミラーの挿絵を用いたレイアウトです。まだ今後変更する可能性もありますが、一応現時点での表紙案ということでご覧ください。


2015年11月13日金曜日

ばい菌はバイキング!

「砂の妖精サミアド」は原題が「Five Children and It(五人の子どもたちとそれ)」であるように、五人の子どもたち(主に、赤ちゃんを除いた四人の子どもたち)が次々と騒動を巻き起こす物語です。

すでに触れたように、その年齢は作品中では触れられていないのでわからないのですが、子どもたちの会話に出てくる、大人なぶろうとする部分と子どもらしい幼い部分が、大きな魅力であることは確かです。でも、だからこそ翻訳に苦労することも出てきます。

例えば手紙。アンシアが書く文章は、ちょっと気取っていて、でも回りくどく、さらに単語の綴りが間違っています。それをわざわざ英語の単語を示して綴りの違いを説明したら、きっと文章の流れが途切れて興ざめです。

そこで日本語を、わざと間違えることにしてあります。「おいしそう」とか「心から感謝している」という具合です。校正ミスではないことを示すためにヽを打ってあります。



さらに単語の言い間違いも訳すのが大変です。次の文章はgerms(ばい菌)をGermans(ドイツ人)と聞き間違えて覚えていたシリルと、その単語を初めて聞いたアンシアの会話です。

「……この間お父さんが言っていたのを聞いたんだ、人は雨水に含まれているバイキングヽヽヽヽヽで病気になるんだって。ここにはたくさん雨水があったはずさ……雨水がすっかり乾いても、バイキングは残っているから、食べ物の中に入ってしまう。するとぼくらはみんなしょうこう熱にかかって死んじゃうんだよ」
「バイキングって何?」
「顕微鏡で見るとクネクネ動いている小さいやつのことさ」学者のような口ぶりで、シリルが言いました。

アンシアが質問しているように、二人ともGermanがドイツ人という意味になることも知らないで話しています(ですから本来ならGermanですが、小文字でgermanと書かれています)。そうすると「ばい菌」を「ドイツ人」と訳しておいて、注釈をつけたのではおかしなことになってしまいます。さすがに二人も「ドイツ人」は知っているでしょうから、「……ドイツ人で病気になるんだって。……」「ドイツ人て何?」という会話は
変ですものね?


そこで、単に単語を間違えているだけでなく、間違えた単語が別の意味を持っているということを活かしたいために、あえて「ばい菌」を「バイキング」としてみました。


ここは偉そうに難しい単語を使って説明しながら、実は大間違いしている、ちょっと大人ぶったシリルの面白さを伝えたい場面なのです。そのことを優先して、上記のような訳を考えてみたわけです。


ただし、原文中に「バイキング(Viking)」などという言葉は存在しないので、これは一つの冒険です。


まだ翻訳途中なので、最終的に別のかたちに落ち着くかもしれませんが、こうした苦労をしつつ、現在も翻訳作業を続けております。


2015年10月29日木曜日

「砂の妖精サミアド」に見る兄弟姉妹

「砂の妖精サミアド」では、オリジナルのタイトル「五人の子どもたちとそれ(Five Children and It)」通りに、五人の子どもたちが主人公として出てきます。ところがこの子どもたちの細かな設定が良くわからないのです。

物語はロンドンに2年住んだ一家が、田舎の白い家にやって来るところから始まります。servant(召使、奉公人、お手伝い)が家にいることから、イギリスの中流階級の家族です。ところがお父さんは急な仕事で、お母さんはおばあさんの看病で、子どもたちと奉公人たちを残して出て行ってしまいます。

ところが子どもたちは毎日サミアドに願い事を叶えてもらおうと、サミアドのいる砂利取り場へと向かっては、さまざまな騒ぎをひきおこすのです。学校へも行かずに。

ということは一家は引っ越してきたわけではないのかな? 長期バカンスか何かかな? それは書かれていないのです。そのまま物語は進んでゆきます。

でもきっと子どもにとって、そんなことはどうでも良いことなのです。目の前に広がる不思議に一喜一憂するので精一杯ですから。これは、そんな子ども心を思い出させてくれるお話なのです。

さらにその子どもたちの年齢も書かれていません。赤ん坊が一番下の子だということはわかります。でも上の四人については、シリル、アンシア、ロバート、ジェインという名前から、男二人、女二人だとはわかるのですが、その順番が書かれていないのです。会話の中で「シリルが一番年上だから……」という言葉が出てくるのですが、あとは特に年齢も、生まれた順番も書かれていません。


つまり、ここには実に欧米的、ヨーロッパ的な兄弟姉妹のとらえ方が見て取れるのです。例えば英語では「I have two brothers.」などのように、兄弟や姉妹がいるかいないか、いる場合は何人か、だけを言います。生まれた順番は重要ではないということですね。(もちろん必要ならば「elder」や「younger」を使って兄か弟かを示すこともできますが。)

日本の場合は昔から「家督を継ぐのは長男」という意識が(旧憲法では規定も)あったので、いまだに順番が示されないとなんとなく落ち着きません。そういう文化なのです。でもここに登場する五人には、生まれた順番という意識はないし、物語の書き手もそういう点にはまったくこだわっていないのです。

ではどうやって区別されるかというと、あくまで個性の違いなのです。ですから四人の会話も対等ですし、意見や行動もそれぞれがはっきりしています。上の者が下の者を庇護するとか、下の者が上の者に頼るとかいう関係がないので、言葉遣いにも甘えがありません。

そうすると日本語に訳す場合も、日本的な兄弟姉妹な言葉遣いではなくなるのです。「お兄ちゃん」とか「お姉ちゃん」というような言葉を使うと逆に不自然になります。

この、日本的なベタベタした感じも、年齢による上下関係とかもなく、それぞれが個性豊かに自分を主張するところが、日本人にとって新鮮に映るのだろうと思います。四人はいろいろ失敗を繰り返すのですが、それがカラッとしていて笑えるのも、四人の会話が時に漫才のように楽しいのも、実はそんな文化の違いが影響しているのだろうと思います。

ぜひ、そんな部分も感じていただけたらと思いつつ、現在翻訳作業中です。

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2015年9月28日月曜日

次回配本第15弾は「砂の妖精サミアド」

《望林堂完訳文庫》として邦訳を出す児童文学書を選ぶ際に、いくつかこだわるポイントがあります。それは例えば次のようなものです。

・名作と言われながら、きとんとした邦訳書が出ていない。
 (訳が古くて読みづらい/抄訳ばかり、も含む)
・初版当時の挿絵が魅力的である。

もちろん書籍全体でこうしたポイントを満たす作品が、翻訳候補に上がりやすいのですが、Kindle書籍として出す以上、Kindle書籍としてこうしたポイントにひっかかるものも、十分に対象になります。

そこで今回候補の最後に残っていたのが「ドリトル先生航海記」と「砂の妖精」の二点でした。しかし現在のところ、「ドリトル先生航海記」はKindle本が出ているのに対し(残念ながらオリジナルの挿絵は使われていませんが)、「砂の妖精」はKindle本がありません。 

そこで次回配本はE.ネズビット (E.Nesbit)作の「砂の妖精サミアド」ということに決定いたしました。イギリス・ファンタジーの名作です。初版本にはとても美しい挿絵が多数収録されているのも大きな魅力です。 

実はこの「砂の妖精」、「おねがいサミアドん!」というタイトルで1985年〜1986年にNHKのTVアニメになったこともあるという、実は日本と縁の深い作品の一つなのです。同時にまた「ハイジ」や「ピノッキオ」や「マーヤ」などと同じく、アニメは知っていてもオリジナルの完訳を読んでいる人は少ないという、とても残念な名作文学の一つでもあるのです。




原題は「Five Children and It(五人の子どもたちとそれ)」ですが、これまでの邦訳書のタイトルとしては「砂の妖精」あるいは「砂の妖精と5人の子どもたち」となっていました。しかし、もともと1900年に「ストランド・マガジン」で連載された時は「サミアド、あるいは数々の贈り物(The Psammead, or the Gifts)」と、「サミアド」という妖精の名前が使われていたようなので、今回はそれをタイトルに入れて「砂の妖精サミアド」とすることにする予定です。

この、妖精と言うにはちょっとグロテスクなサミアド(そこがまた斬新なところです)と、五人の子どもたちの織りなす楽しい物語です。どうぞご期待ください!