2017年10月22日日曜日

「白い象の伝説」とミュシャの挿絵

「白い象(The Memories of a White Elephant)」の挿絵は、アール・ヌーヴォーを代表する画家・イラストレーターであるルフォンス・ミュシャ(Alfons Maria Mucha)によるものです。

 大女優サラ・ベルナールのポスター「ジスモンダ」の宣伝用ポスターを制作する仕事が舞い込み、ミュシャにとって大転機となるのが1894年のクリスマスのこと。この挿絵は、その前年の1893年に描かれたものです。

「白い象の伝説(Mémoires d'un Éléphant blanc)」は、1893年9月から1894年1月まで「ル・プチ・フランセ・イリュストレ」に連載され、1894年にパリの大出版社アルマン・コラン社から単行本として出版されました。この連載時に、すでにミュシャの絵が使われていたのです。
  

  
原画はインク(墨)と水彩によるものですが、1894年初版依頼、重版分を含め、収録されたのは当時の一般的な技法であるモノクロ木版画でした。
 
オリジナル原画(墨と水彩)


書籍収録挿絵(木版画)

オリジナルの淡い色調も美しいですが、木版画の繊細な技術も素晴らしいものがあります。いずれにしてもミュシャの卓越した画面構成、明暗のドラマチックな使い分け、隅々まで行き届いた繊細さと緊張感が光ります。
  
《望林堂完訳文庫》では、木版画を基本に、オリジナル原画も可能な限り収録予定です! 
   
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