2015年8月11日火曜日

プック(Puck)は男性?女性?

「ミツバチ マーヤの冒険」の第6章に、プック(Puck:英語読みだと“パック”ですがドイツ語読みに則ります)という“家バエ”が出てきます。このPuckの性別がちょっと問題です。

翻訳はオリジナルのドイツ語を英訳した「The Adventures of Maya the Bee」(Thomas Selzer Inc, 1922)を元に行っているのですが、そこでは 人称代名詞にheが使われていて、男性として扱われています。

ところがオリジナルのドイツ語から直接訳されたと思われる「みつばちマーヤの冒険」(世界名作文学集、国土社、2004)では、女性として描かれています。「彼女」という代名詞を使い、言葉遣いも女性的です。

原文にあたってみたところ、

Dann plötzlich duckte sie sich zusammen, so daß es aussah, als habe sie keine Beine.

と英語のsheにあたるsieが使われているので、女性だと思われるのですが、ではなぜ英訳版で男性になってしまったのかが謎です。

以下に、Googleの機械翻訳と上記英書の英訳部分を上げておきます。(太字での強調は筆者による)



Google翻訳:Then suddenly she crouched together, so that it looked as if she had no legs.

上記英訳書:Suddenly he ducked his head and squatted down, so that he looked as if he had no legs.

ちなみに日本のTVアニメ「みつばちマーヤの冒険」(1975-1976)に登場するPuckは男性。このアニメはヨーロッパでも人気があったせいか、ネットを見る限り、現在は一般的にはPuck=男性というイメージが強いようです。

ただし順番としては英訳が先(1922年)なので、それを採用してアニメのキャラクターも男性になったのかもしれません。


では今回の邦訳ではどうするか、ということになるのですが、英訳版の翻訳という基本的なスタンスに則れば男性ということになりますが、やっぱりオリジナルを尊重して女性として訳すべきか。悩みどろこです。