でもこの第1作目の成功が逆に作者ライマン・フランク・ボームとの関係を悪化させることになります。今風に言ってしまえば、デンスローによって描かれたかかし男やブリキの木こりたちのキャラクター権をめぐる争いだったようです。
その結果、オズの物語の2作目以降の挿絵を担当したのは、ジョン・R・ニール(John R Neill)というイラストレーターで、のちにオズの物語そのものも手掛けたりしています。
それぞれ特徴があって、ボームは輪郭のはっきりした線で、ドロシーを含めてキャラクターはずんぐりむっくりしています。デフォルメやポージングが独特で、どこかしら滑稽でどこかしら不気味な味わいがあります。
ドロシーの可愛らしさが、ぐんとアップした感じですね。そしてこのリアルなドロシーと一緒に異形のキャラクターたちが描かれるのですが、そのバランスがまた絶妙なのです。
デンスローの不気味さも、ニールのリアルさもどちらも大きな魅力ですが、当時印刷技術が飛躍的に発達したこともあり、カラーグラフィック的にはニールの挿絵の方が凝っているのは確かでしょう。
物語的にも人気の高い第三作「オズのオズマ姫」ですが、挿絵の面でもニールの魅力が一番堪能できる作品になっているのではないでしょうか。
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